「中津層の化石を使った地学研修講座」
センターの他の研修講座では、野外での巡検を研修講座に取り入れているが、野外巡検の研修講座では1日の日程が必要になり、半日日程では難しいのが現状である。しかし、室内で行う地学研修講座に神奈川県の化石資料を用いた内容を取り入れることができたのは、化石が比較的大量に博物館より入手できたためである。野外に行かなくても、実際に近い体験ができると考え、化石採集の経験の少ない先生方に、化石採集の楽しさ、調べ方や標本づくりの基本的事項を研修講座として、以下の3回実施した。
県立高等学校実習助手研修講座「化石の調べ方」1997年2回、1998年1回実施(各回16人)
3日間の研修日程で、天文、地質、気象分野の3分野を1日ずつ研修する。そのうちの地質分野の半日(3時間)に中津層の化石を用いた研修を行った。
<指導の流れ>
1.化石の産状について(どんな状態で化石が見つかるのか?)
自生(現地生)と他生(異地生)の違い、密集と散在の違い
2.化石からわかること(環境、時代)
3.保存状態
貝殻が残っている場合、貝殻がなくなって、印象が残る(外側と内側)
これはなんでしょう?
4.採集の仕方・・・ 産状の観察、乱掘をしない、安全とマナー、産地をはっきり
5.標本作成の仕方・・・クリーニング、モデリング、同定、ラベル付け、整理と展示
上記の解説を交えながら、実習として、中津層の化石を岩石から割りとり、クリーニング、スケッチ、観察、同定、ラベル作成を行った。また、保存の良い別の化石標本を使い、レプリカ作りの実習を行った。
<用意した資料>
・中津層の化石(主に貝化石)の論文
・博物館に展示されている化石資料の写真
・取り出した中津層化石の実物標本
・湘南海岸に打ち上げられた現生の漂着貝の標本
・レプリカづくりのための材料
<指導者の感想>
・取り出した化石を絵あわせをしながら同定するための資料を用意したが、どの部分を見たらよいのか、種の決め手になる特徴はどこなのかがわかりにくく同定が難しい。そのため、実物や現生の標本を用意して参考にした。専門家でない先生方が同定するには、実物に勝るものはない。
・博物館から提供された資料だけでは、当初資料不足の感があったが、1998年になって、わかりやすい写真の資料が発行されたので、実践しやすくなった。
<参加者の感想の一部>
・博物館で見る化石よりも、自分で取り出したものは重みがありました。生徒にもこういう経験をさせてあげられればよいのですが。
・化石の発掘は思ったより大変だった。もう少していねいに行えばよかったと後悔した
・自分の手で化石を発見できたら、さぞや感動するでしょうけど。
・化石を実際にハンマーで取り出したときは、とてもおもしろかった。化石の見本をもっと見たかった。
・化石の洗い出しがスムーズにいったので、後の作業がスケッチのみで少々退屈だった。
・実際に化石をとりだしたのは、なかなかできないことなのでよかったと思います。小学生のとき、いとこの山でよく二枚貝の化石とりをして、楽しかったことを思い出しました。
・初めての体験だったので、とても有意義だった。やはり標本で見るのと自分が掘り出すのとでは違うと実感した。
・化石が粘土質の土の中に入っていたので、化石がとりにくく大変だった。化石がこわれやすく、ちょっと感動がうすれた。
研修テキスト作成のために、博物館から提供していただいた資料の他、次の資料を使わせていただいた。
・相模原市立博物館(1998)相模原が海だったころ
・上田貴康(1995)1994年度修士論文 神奈川県中津層群の古生物学的研究
・磯貝文男・柴田松太郎・真野勝友編著(1993)地学ハンドブックシリーズ・7
貝化石のしらべかた−絵あわせで名前をきめよう− 地学団体研究会
・相模原市教育研究所(平成元年度)研究集録110号 中津層の教材化に関する基礎的研究
・白光化学研究所 かたどり材料 コピック
・松本丈人 藤沢市科学少年団ビーチコーミング(1997)
・小川義和 実験観察講座「教育用レプリカ標本の製作方法」理科の教育1998年10月号
<その他の中津層化石の利用>
・藤沢市教育文化センター研修講座「化石・岩石標本の作り方」1999年実施(2時間半)
センターの研修と同様なテキストを作成したが、実習にウエイトをかけ、レプリカ作り、中津層の化石とりだしの他、小中学校で学ぶ岩石・鉱物標本の作製も同時に行った。
・長期研修員(相模原市立谷口台小学校6年2組)の研究授業への資料提供と援助